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NO.31 研究紹介!【高橋創】

執筆者の写真: 高橋創高橋創

皆さんこんにちは!高橋です。

今日は僕が大学院でしている研究の紹介を、わかりやすく!という注文をいただいたので、どういう雰囲気のことをしているのかを、中学生にも伝わるレベルを目標に、できる限り頑張って紹介したいと思います。もっと詳しく知りたい!という人は僕に直接聞いてください笑


さて、僕の研究で、どういうことを知りたいと思っているかを簡単な言葉でざっくりいうと、


Q. 人間って成長していく間に、どういうふうに学習して、いろんな「モノ」のことがわかるようになるの?


です。


ざっくりしすぎていてわかりづらいと思うので、具体例を出してみましょう。皆さんは「犬」がどういう「モノ」なのかをご存知ですよね。でも、そんなみなさんも生まれたばっかりの時は犬なんてもののことは一切知らなかったはずです。それが成長するにつれて、例えば親に「あれは犬っていう動物だよー」と教えられたりとか、単に外を走り回っている犬をみたりとか、犬と猫がペットとして紹介されているのをみたりとか、色々な形で犬についての学習をして、あの4足歩行の「モノ」は、「犬」と呼ばれていて、動物の一種で、その中でも哺乳類の一種で、猫と似てたりして、ペットとして飼われることが多くて...というように犬のことがわかるようになってきたわけです。じゃあ、こうやって犬のことがわかるようになるためには、どういう学習が大事なんだろうか、というのが、僕の研究で知りたいことです。親に言葉で教わるのが大事なのか、それとも自分でいろんな犬を見るのが大事なのか、他のものと比べたりするのが大事なのか、はたまた...?


さて、ここまでで、どういう問いについて答えを知りたいのか、ということはわかっていただけたと思います(わからなかったらごめんなさい...)。

次に考えなければいけないのは、「どうやったらこの問いに(部分的にでも)答えられるようになるのだろうか」という点です。人間の学習ってどうなってるんだろうなあ、と思うだけならいくらでもできますが、研究をして一定の答えを出すためには、実際に答えられる形に問いを落とし込む必要があります。


上のざっくりした問いを答えられる形に落とし込むためには、大きく分けて2つの障壁があります。


  1. 犬のことがわかる、というのを、上では「動物の一種で...」みたいに言葉で表しましたが、言葉で説明するだけでは犬の全ての特徴を表しきれません。どうやって、人間が「犬」を理解している、ということを特徴づければ良いのでしょうか?

  2. ある人が、生まれてから今まで、どういうものを見て、聞いて、学習してきたのかについてのデータはありません。つまり、直接的に人間の成長過程を調べられるデータが存在しないという問題があります。それでも人間の成長過程の学習のことを知りたかったらどうすれば良いのでしょうか?


まず、1つ目の点について。犬のことだけを考えると、人間にとっての「犬」って何...?となって難しいので、犬と他の「モノ」との関係性を考えることで犬を特徴づけようとします。例えば、以下のように、人間にとっての犬と他の「モノ」との関係性をできる限りたくさん挙げてみましょう。

  • 犬は猫ととても似ている

  • 犬は東京タワーとは似ていない

  • 犬はカメレオンとは、猫ほどではないが、東京タワーよりは似ている

  • 犬はメガネとは、東京タワーと同じくらい似ていない

  • etc…

この犬と他のモノの似具合を使えば、人間が犬についてどう理解しているのか、の少なくとも一側面を特徴づけられるのではないか、というのが僕の研究で使っているアプローチです。

例えば、上で挙げた似具合をもとにモノの関係性を配置すると、下のような図になります。こういうふうに、モノ同士の似具合の関係性を人は学習して、モノのことがわかるようになっている、という見方ができるのです。




では、続いて2つ目の障壁である、データがない、という点はどうすれば良いでしょうか。生まれてから人が何を見聞きしてきたのかについてのデータがなければ、どういう学習が特に大事なのか、を知ることはできなさそうです。

そこで代替案として僕の研究でとっているのは、AIを人のモデルとして使うアプローチです。最近のAIが人間に近いことを色々とできるというのは、みなさんも日常生活で感じていることだろうと思います。そこで、親からモノの名前を教えられるのと同じような学習をしたAIや、モノの見た目だけからモノの関係性を学習したAI、画像とその画像を説明する文章を一緒に学習したAIなど、いろんな学習方法でモノの関係性を学習したAIと人を比べます(下の図を参照)。

そして、色々な学習方法のAIによって学習されたモノの関係性は、どれくらい人間が学習したものと似ているのか、を調べることで、一番人間に似たAIのしている学習が、人間の学習でも大事なのではないか?という予想ができる、という寸法です(ちょっと込み入っていてわかりづらいポイントだと思います、よくわからなかったらもう一度ゆっくり読んでみてください...)。




 というわけで、最初の問いが、なんとか研究で答えを出せそうな感じになってきました。本当はここからも、色々と乗り越えなければならない障壁はあるんですが、どういうことをしているのかの気持ちはなんとなく伝わったでしょうか...?今ちょうどこの研究についての論文を書いているところなので、もっと詳しく知りたい人はその論文が出たらぜひ読んでみてください!なるべく早く出せるように頑張ります!


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